【読んだ本】安達茉莉子『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』

本のこと

「静かな自立」を目指し、情報収集するなかで、たくさんの素敵な本に出会いました。

今回はその中でも「自分で自分の生活を作るとはどういうことか」ということをとても丁寧に教えてくれた、安達茉莉子さんの『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』について書きたいと思います。

どんな本?

著者である安達茉莉子さんはコロナ渦の影響で勤め先がなくなったことをきっかけに、新たに新居を探すことに。千葉の妹夫婦宅での居候生活を経て、横浜の妙蓮寺で新たに生活を始めます。引っ越しに伴い、ほとんどの家具を処分した著者は、生活改善運動をしながら、まっさら状態から部屋と生活を作っていく。その記録のエッセイです。

生活改善運動とは?

本のタイトルである「生活改善運動」とは、実際に日本の歴史の中であった運動でもありますが、著者は本の中では、以下のように定義しています。

それは、自分にとっての心地よさ、快・不快を判別し、より幸福なほうに向けて生活の諸側面を改善していく自主的で内発的な運動だ。

タオルやシーツ、ゴミ箱、セーター、鞄、家具など具体的なモノから、住居や仕事、人間関係など様々なレベルで、自分にとって幸せが何なのかを探り、幸せに生活してくための具体的な行動をとっていく。

安達茉莉子「私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE」より

たとえば本棚が欲しいとなったとき、おそらく、ほとんどの人は、ネットや店舗で既製品の本棚を選ぶことからはじめるのではないでしょうか。数々の商品を、値段や自分の理想と引き合わせ、どこかの店で商品を買う。ドンピシャなものが見つかればよいですが、なかなかそんなものはないため、とりあえずそこそこ条件のあったものを買って良しとする。それでも本は収納できるし、暮らしは当然のように回っていきます。

でも、生活改善運動を始めた著者は、理想の本棚が見つからないと気が付いたとき、DIY初心者にもかかわらず、ホームセンターで木材を買い、電動ドリルに慄きながらも、理想の本棚を自作します。

そして、出来上がった本棚は「かわいい」「いとおしい」ものであると著者はいいます。

本棚を製作することも自分を尊重すること

生活改善運動は、「自分が何を快・不快に思っているのか」に正直になり、たとえ時間や手間がかかっても、自分が幸せな方向に向かっていくことです。本棚を作るといった、一見自分の生活の本当に小さな部分でも、ごまかさず、誠実に向き合っていく。

骨が折れるし、今まで生きてきた自分の考えの癖を直していくことは(そもそも、自分の考えの癖に気が付くこと自体も)とても難しい作業です。

それでも、一つ一つ生活に手を入れて生活改善運動をしていくことで、生活は確実に、自分の望む方向に変わっていくのです。

それは、遠回りのように思えて、本当の自分の人生を生きる、確かな道のひとつなのだと思います。

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